「若菜集」や「夜明け前」などで有名な島崎藤村の邸宅に行ってきました。
若菜集の「初恋」は最も好きな詩のひとつです。
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじまりなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情けに酌みしかな
林檎畠の樹の下に
おのづからなる細道は
誰がふみそめしかたみぞと
問ひたまふこそひしけれ
憶えていませんか?きっと教科書にも載っていたはずです。
何度口ずさんでもいい詩です。
30過ぎのオヤジの胸がキュンとします。
ところで「椰子(やし)の実」は島崎藤村の作詞ってご存知でした?
意外と皆さんご存知無いようで・・・。
「椰子の実」
名も知らぬ 遠き島より
流れ寄る 椰子の実一つ
故郷の岸を 離れて
汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)
旧(もと)の木は 生(お)いや茂れる
枝はなお 影をやなせる
われもまた 渚を枕
孤身の 浮寝(うきね)の旅ぞ
実をとりて 胸にあつれば
新(あらた)なり 流離の憂(うれい)
海の日の 沈むを見れば
激(たぎ)り落つ 異郷の涙
思いやる 八重の汐々
いずれの日にか 国に帰らん
藤村って凄すぎます。
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